2022年2月
2022年2月25日
2022年大学入試共通テスト概況分析 第5回 数学ⅡB
こんにちは。
家庭教師のトライ茨城校です。
今回は、共通テストの数学ⅡB の概況についてお伝えいたします。
数学ⅡB
平均 43.06 点(昨年比-16.87点)
分量 増加
難易度 やや難化
大まかな傾向 1つの問題に対して複数の解法を考察する問題が目新しい。
問題構成
(大問数 5 第1問・第2問は必答、第3問~第5問より2問選択)
1 [1]図形と方程式[2]指数関数・対数関数
2 [1]微分法[2]積分法
3 確率分布と統計的な推測(↓のポイントで詳しく解説!)
4 数列 (↓の問題pickup で詳しく解説!)
5 ベクトル
概観
昨年度より難化しました。正答に至るまでの過程の理解が必須となり、リード文や会話文など、数学に直接関係のない文章が多くなりました。(この点については、前回のブログで詳しく解説しているので、そちらも是非見てください。)選択者の少ない「確率分布と統計的な推測」が最も易しかったです。
問題pickup
・第4問は、自転車と歩行者の時間経過に伴う位置変化を、漸化式を立式して考察する問題でした。
長いリード文から問題設定を正確に把握し、漸化式を立式する問題でした。関数のグラフの特性から2つの数列の相互関係を読み取れれば漸化式を立式できました。計算自体は平易だったので、誘導に丁寧に乗れたかが決め手となりました。
ポイント: 「確率分布と統計的な推測」はやるべき?
先程、「 選択者の少ない「確率分布と統計的な推測」が最も易しかった 」と述べました。多くの高校では、そもそもこの分野を学習しない・学習しても短時間で終わらせてしまうことが多いため、必然的に選択した人も少なくなったのです。では何故、この分野を学習しない学校が多いのでしょうか?
その理由は非常に単純で、「ほとんどの大学が2次試験で出題しない」からです。
2次試験で数学がある人にとっては、1次試験の20点のために確率分布を頑張るよりも、2次試験でも出題頻度の多い数列やベクトルを勉強するほうが、入試全体でみれば高得点につながる、ということです。
また、この単元は覚えるべき公式や用語が多く、学習にやや時間がかかるというのもネックです。
しかし、確率分布と統計的な推測を勉強するメリットも当然あります。
① 2次試験で数学がない人にとってはむしろ効率的
ベクトルや数列の分野は応用問題のパターンが多く、数学が苦手な人は行き詰まりを感じやすい分野です。
それに対して 確率分布と統計的な推測は、問題のパターンが一定で、前者2つよりは問題が易しい印象です。
ベクトルや数列が苦手な文系の方は、勉強する価値があるでしょう。
② 他分野の理解につながる
確率分布と統計的な推測は、数学IAのデータの分析や場合の数と確率と関連が深い単元なので、
数学IAの点数上昇につながるかもしれません。
③ 他の大問に多く時間を割ける
①と関連した内容ですが、 確率分布と統計的な推測は問題を解くのにかかる時間が短く済みます。
結果として他の大問の時間を長く取れるため、数学ⅡB全体の得点上昇につながります。
以上から、 「『確率分布と統計的な推測』はやるべきか」の結論としては、
・志望大学の2次試験や、数Bの他分野の理解度を考慮に入れたうえで、検討をする
・選択すると決めたら、早めに勉強を開始して、確実に点を取れるようにする
ということになります。
要するに「人による」ということです。
「そんなことを言われても、まだ志望校も決まっていないし、どうすれば……」という方もいると思います。
ご安心ください。
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来年に向けた対策方針
日常の出来事が題材に
第1問[2]で対数の大小を具体例から一般化して比較する問題、第4問で関数のグラフから漸化式を立式する問題が出題されました。日常の出来事を題材に、「問題を発見し、それを数学的に解決する過程」が重視されました。
このような、日常を題材とする問題の勉強のコツは、前回のブログで詳しく特集したので、そちらを参考にしてください。
その他の対策方針
・計算:
時間的制約が厳しく、高度な計算処理能力が必要です。時間を意識した計算訓練を続けましょう。
・関数・微分積分:
基本公式は必ず導出できるようにしておきましょう。複雑な関数でもグラフの概形を常に想起しましょう。
・問題の解き方:
秋以降に過去問・予想問を活用して、リード文の設定から数式を構築する形式に慣れましょう。
こんにちは。
家庭教師のトライ茨城校です。
今回は、共通テストの数学IAの概況についてお伝えいたします。
数学IA
平均 37.96点(昨年比-17.22点)
分量 やや増加
難易度 難化
大まかな傾向 見慣れない問題や、解答方針が立てづらい難解な問題が出題。
問題構成
(大問数 5 第1問・第2問は必答、第3問~第5問より2問選択)
1 数と式・図形と計量 (↓の問題pickup で詳しく解説!)
2 2次関数・データの分析
3 場合の数と確率
4 整数の性質
5 図形の性質
概観
昨年より大幅に難化しました。日常の現象を扱い、会話文でヒントや方針を与える共通テストの傾向は保持しつつも、思考手順が多い上に誘導に乗りづらい難解な問題も出題され、非常に厳しい試験でした。
問題pickup
・第1問は、地図情報を使って、キャンプ場から山頂を見上げる角度(仰角)を求める問題でした。
地図から得た角度と、実際の縮尺を組み合わせて、仰角を計算する問題でした。三角比の原理原則を忠実に考察すれば正答を選ぶことができました。
ポイント:問題に関係のない言い回し
「国語のテストを解いているかと思った」とも揶揄されるほど、数学の問題文が長文になっています。
何故、このような変化が起きているのでしょう。
教育改革において重視される学問の3要素として、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」があります。
この中でも「主体性」すなわち「学びへの姿勢・興味」の部分を問うために、日常で触れる物事を題材にした問題が出題されます。
このような問題には、「解答するために必要のない情報も書かれている」「図や絵を含んだ助長な説明文が続く」といった特徴があります。また、数学らしからぬ言い回しや対話文を含む問題も出題されています。これが、数学が長文化する要因です。
このような「問題文の長文化」・「解答に関係ない情報が書かれている」という傾向は、数学に限らず共通テスト全体での特徴です。
主旨を理解するため、条件を見逃さないため、正確でスピーディーに読み進める必要があります。数学を含めあらゆる科目に、国語の読解力が求められるでしょう。
しかし、設問で問われていることは基礎的な内容で、教科書の範囲から逸脱していません。今回の数学IAは、見慣れない問題が多かったことが低得点の要因でしたが、問われている知識そのものは教科書の範囲を逸脱していません。題材に惑わされず「何が問われている問題なのか」を見極めることがポイントになります。
来年に向けた対策方針
今年度の揺り戻しで、来年度は易化するという可能性もありますが、油断は禁物。 「見慣れない設定の問題を自分で方針立てて考える力」が身につけられるような勉強をしましょう。
・計算問題:
余計な計算を省けば計算時間が短縮できます。問題演習の際は、どの式なら暗算できたかを見直すようにしましょう。
「正解できた問題」であっても、見直しを行う習慣を付けましょう。自分のやり方より、効率の良い求め方があるかもしれません。
・図形の性質:
図を書き、与えられた条件を書き入れていくようにしましょう。場合に応じて、「問題の一部のみを拡大した図」や「別方向からみた図」を書くことも、理解の助けになります。
普段から、図で考えるクセをつけておきましょう。
・データの分析:
与えられた図ごとの”違い”に注目し、”違い”をヒントに問題文を読み、選択肢を絞っていきましょう。
・誘導問題:
「問題の意図(何を求めさせたいのか)を理解できるか」が、共通テスト数学を効率よく解くカギとなります。 問題演習をした後、「誘導に上手く乗れたか」を振り返る時間を日常的に作りましょう。
2022年2月18日
2022年大学入試共通テスト概況分析 第3回 英語リスニング
こんにちは。
家庭教師のトライ茨城校です。
今回は、共通テストの英語(リスニング)の概況についてお伝えいたします。
リスニング
平均 59.45点(昨年比+3.29点)
分量 例年並み
難易度 やや易化
大まかな傾向 出題形式はほぼ固定化。解答に至るまでの手順は単純化した。
問題構成
(大問数 6 解答番号数 37)
1 1人の話す1~2文を聴き英文やイラストを選択
2 2人の2往復の会話を聴きイラストを選択
3 2人の3往復の会話を聴き英文を選択
4 1~4人の音声を聴きイラスト整序・表埋め
5 講義を聴きワークシート穴埋め・内容一致・グラフ読解
6 2~4人の15~20発言を聴き内容一致選択 (↓の問題pickup で詳しく解説!)
概観
昨年同様、イラストや図表の問題が多く、時系列の整理や情報を比較・判断して処理する能力が問われました。問題中の語数は増加しているが、音声そのものと出題内容はやや易化しました。
問題pickup
・第6問Bは、2人のブログの記事を読み設問に答える問題でした。
登場人物は4人。全部で20発言。4人の意見をメモしながら聴き、エコツーリズムについての賛否や意見の移り変わりを聴き取れたかどうかが成否の分け目となりました。
問36は賛成している人の人数を選ぶ問題、問37:話者の意見と一致する図表を選ぶ問題でした。 また、登場人物の中には、英語を母国語としない人物の英語音声も含まれていました。
ポイント:イヤホンは要確認
勉強とは直接関係はないけれども重要なのが、リスニング環境です。
普段の定期試験では、教室のスピーカーやCDプレイヤーで一斉に音声が流れることが多いかと思われますが、本番は、一人一台ずつICプレイヤーと音声メモリーが配布され、それを操作して音声を聞くことになります。
共通テストの外部模試には、本番のものに近い機器を用いて試験を受けることができるものもあるので、積極的に受験し、機器の扱いに慣れておいた方が良いでしょう。
また、団体を対象に、リスニング機器の貸し出しも行われています。
今年度から、イヤホンの形状がより耳にフィットする形に変更になりました。
また、イヤホンが耳に合わなかった場合は、「イヤホン不適合措置」申請を出すことができます。(令和5年度共通テストの申請方法は、7月上旬に発表される予定です。)
外部模試やリスニング機器の貸し出しの際にイヤホンが少しでも合わないと感じたら、積極的に申請を出すようにしましょう。
筆者はセンター試験時代の受験生ですが、本番のイヤホンの形状がどうしても合わず、ずり落ちそうになるイヤホンを抑えながらリスニングを受験しました。
その結果、本番の得点が、直前の模試より10点以上下がる結果となりました。
繰り返しになりますが、イヤホンが少しでも合わないと感じたら、積極的に不適合申請を出すようにしましょう。
来年に向けた対策方針
1度きりの音声
センター試験と共通テストの大きな相違点として、音声が1回しか流れない問題が多いです。
今年度は、大問1,2は音声が2回流れましたが、それ以降の問題は1回しか音声が流れませんでした。今後も、このような傾向が続くと予想されています。 集中力を切らさず丁寧に聞き取る『精聴』が必要となってきます。また、大意をつかむことも大事ですが、流れや意見の変化を正確に追うようにしましょう。必要に応じてメモを取ることも重要です。
その他の対策方針
・音声(発音):アメリカ英語だけでなく、イギリス英語や母国語を英語としない人物の発音も出題されます。
様々な問題にチャレンジし、耳を慣らしましょう。
・音声(スピード):今年度は単語間を繋げた音声は少なくなり易化しましたが、来年度は揺り戻し(難化)する可能性も考えられます。
難しめの問題にもチャレンジしておきましょう。
・解き方:音声が1回しか流れないため、問題文中に与えられた情報から流れる音声の内容を予想する能力が試されます。 普段から、問題説明が流れている間に問題文に目を通す、メモを取る、などの練習をしておきましょう。
・語彙:実生活や国際的に話題となっているテーマに関連する英単語を普段から調べましょう。
また、分からない単語が出たときは、意味や品詞だけでなく発音も調べて単語ノートに書き留めておきましょう。
リスニングに限らずリーディングの問題でも、知らない単語が出てきたら発音を調べて単語ノートに書き留めるようにしましょう。
・その他:以前このブログで、リスニングの勉強法について取り上げたことがあります。(記事はこちら)この記事も参考にして、学習を進めてみてください。
2022年2月4日
2022年大学入試共通テスト概況分析 第2回 英語リーディング
こんにちは。
家庭教師のトライ茨城校です。
今回は、共通テストの英語(リーディング)の概況についてお伝えいたします。
リーディング
平均 61.81点(昨年比+3.01点)
分量 やや増加
難易度 例年並み
大まかな傾向 英語の施設案内文や伝記など、より多様な文章が出題された。
問題構成
(大問数 6 解答番号数 48)
1 書籍の読解
2 掲示案内文の読解・記事の読解
3 ブログの読解・雑誌の読解
4 複数のブログの読解(↓の問題pickup で詳しく解説!)
5 伝記文の読解
6 説明的文章の読解
概観
昨年同様、長文をもとにイラストや資料から情報を抽出する問題が出題された。日常で使用されるような文章、雑誌の記事、論説文と多種多様な文章を取り扱っていた。
共通テスト 出題のポイント
第1問で食べ物に関する説明文から必要な情報を抜き出す問題、第3問・第5問で文章中から出来事を抽出して順番に並べる問題が出題されました。→設問文をヒントに「読むべき文をスピーディーに探す」場合と、「文章全体をじっくり読む」場合に分け、“緩急をつける”必要があります。
センター試験から共通テストに変わったことで、出題される問題が長文読解のみとなりました。
センター試験時代は、前半の発音アクセントや文法、並び替えなどの単純問題を最速で解き、後半の長文問題をじっくり解く……というテクニックが使えましたが、徹頭徹尾、文章問題 で構成される共通テストは、時間との勝負になります。これは、日常で使われる英語に重きを置く教育改革の方針を受け、英文法よりも実際の英文を読む力を重要視した結果であると考えられます。
問題pickup
・大問4では、2人のブログの記事を読み設問に答える問題でした。
文章だけでなく、イラストや表から必要な情報を探し出し、金額を計算する必要がありました。
また、文章後半では、精読も求められました。
ポイント:設問文を先に読もう!
問1~3については、先に設問文を見ることで、どちらの文章を読めば良いかがわかるようになっていました。
問5についても、設問文から先に抽出すべき情報を得てから資料を比較することで、効率よく解答に到達できます。
来年に向けた対策方針
最優先は読解
読んだ内容を忘れたのでもう一度読み返すのはタイムロスが大きいです。段落ごとに内容を自分の言葉で要約し記録しましょう。内容を忘れずに読み進むことができ、段落と段落の論理的つながりを考えやすくなります。
長文を読むときには要約する習慣をつけ、成果物を教師に添削してもらうと、客観的な評価に基づき、表現力を伸ばすこともできます。これを繰り返すことで、読んだ内容を整理し、本文の主旨を素早く把握できるように洗練されていきます。
文献から情報を素早く正確に取得する能力は、科目を問わず、参考書を用いて自習する際の習得効率にもつながります。今後の学習全体に影響を及ぼしますので優先的に習得しましょう。
その他の対策方針
・語彙:単語の意味を丸暗記するのではなく、言い換えに対応できるよう類義語・派生語も覚えましょう。意味が複数ある単語は、特に頻出の意味を覚え、文脈から素早く判別できるようになりましょう。
・文法:読解中心の問題といえども、読解の土台は文法です。文法の勉強は怠らないようにしましょう。
・解釈:記述が「事実」か「意見」かを判別させる問題が出題されるため、普段から両者の違いを確認するようにしましょう。
2022年2月3日
2022年大学入試共通テスト概況分析 第1回 全体概況
こんにちは。
家庭教師のトライ茨城校です。
さて、さる1月15日、16日に、大学入試共通テストが実施されました。
今回のブログから、何回かに分けて、共通テストの概況を説明していきます。
高校1,2年生の方は、ぜひ春休みや来年度以降の勉強に役立ててください。
第1回目となる今回は、全体概況をお伝えいたします。
令和4年度大学入試共通テストの最終集計
出典:大学入試センター
※昨年度の共通テストの得点は最終発表のものです。
※数学の『簿記・会計』『情報関係基礎』及び英語以外の外国語の平均点は省略しております。
総評
・理系科目を中心に、昨年度と比較して大幅に難化しました。
特に数学は昨年度比で平均点が10点以上減少。あまりの難しさに大きな話題となりました。
・全体的に、読み取りや解答に手間がかかる難解な問題が増加しました。
上記を踏まえると、これからの共通テストでは、「自分の知識」+「情報の抽出・比較・考察」という知識・情報の使い方がカギを握ることになってきそうですね。
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2022年2月1日
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