2022年4月
2022年4月30日
2022年大学入試共通テスト概況分析 第13回 倫理・政治経済
こんにちは。
家庭教師のトライ茨城校です。
今回は、共通テストの倫理・政治経済の概況についてお伝えいたします。
倫理・政治経済
平均 69.73点(昨年比+0.47点)
分量 例年並み
難易度 例年並み
大まかな傾向 年代の順番を答える問題が復活し、知識の重要性を再確認。
問題構成
(大問数 7 解答番号数 32)
1 源流思想
2 日本思想
3 西洋の近現代思想
4 青年期・現代社会分野
5 まちづくり
6 経済主体 (↓の問題pickup で詳しく解説!)
7 地方自治
概観
倫理では代表的な思想・思想家に関する基本用語と、文章の要点を見抜く力が必要となります。政治経済では基本知識をもとにグラフや表を考察するような思考力を問う問題となっています。
問題pickup
・第6問は、いわゆる”ビッグマック指数“を取り上げた為替レートの問題でした。
これは政経の教科書には載っていない、多くの受験生にとって未知の概念ですが、外国為替レートの仕組みを抑えておけば解ける問題でした。
公民では、このように新奇の概念が出題されることがありますが、問題自体は教科書レベルの知識で対応できるものです。
惑わされたり、動揺したりすることなく、落ち着いて問題を読みましょう。
※ビッグマック指数とは……マクドナルドで販売されているビッグマック1個分の価格を基に、各国の経済力を計る経済指標の一つ。ビッグマックは全世界でほぼ同一品質のものが発売されており、原材料費や店舗の光熱費、店員の労働賃金など、さまざまな要因を元に単価が決定されるので購買力の比較に使いやすいとされました。イギリスの経済専門誌『エコノミスト』が1986年に提唱しました。(参照:Wikipedia)
(共通テストの問題には特定の商品名を出せないので、問題文中には「ビッグマック指数」という単語は出ていません。)
来年に向けた対策方針
倫理・政治経済まんべんなく
倫理の会話文読解では、論点を追い、問いのポイントを見極めることが必要です。政治経済では、知識を具体的事例で運用できるかが問われています。
両方の分野からバランスよく出題されるので、範囲は広いですが、しっかり勉強しましょう。
どちらかの分野がどうしても苦手、範囲が広すぎて勉強しきれない……という場合は、受験科目を「倫理」あるいは「政治経済」に切り替えるという手もあります。
人によっては、そちらの方が公民の点数を伸ばすことができます。
※※事前に、自分の志望校の指定科目を確認して、「倫理・政治経済(倫政)」でなくても大丈夫かを確認しましょう!
文系大学の中には、「倫政」しか使用できないところもあります。
※それぞれの科目の勉強法については、過去のブログ(2022年大学入試共通テスト概況分析 第10回 倫理、2022年大学入試共通テスト概況分析 第11回 政治・経済)も参考にしてください。
その他の対策方針
・知識:
政治経済の各分野では融合問題も出題されるので、知識を幅広く、正確に身につけましょう。
・読解力:
会話文の流れを追い、大まかに文章の論点を理解してまとめる練習をしましょう。
・時事問題:
「民泊」「助成金」などの時事的要素に対応できるよう、日頃から情報収集をしておきましょう。
こんにちは。
家庭教師のトライ茨城校です。
今回は、共通テストの現代社会の概況についてお伝えいたします。
現代社会
平均 60.84点(昨年比+2.44点)
分量 例年並み
難易度 やや易化
大まかな傾向 昨年度に続きグラフや図表の読み取り問題が多数出題された。
問題構成
(大問数 5 解答番号数 30)
1 地方自治・選挙制度・国際政治
2 哲学・青年期・企業 (↓の問題pickup で詳しく解説!)
3 戦後経済・金融政策・労働問題
4 個人の尊重・倫理
5 持続可能な社会の形成・図表や資料の読み取り
概観
昨年度と傾向は変わらず、資料の読み取り問題が多く出題されました。知識問題は正誤組み合わせ形式が中心でした。資料を分析するだけで解けるような知識不要の問題が微増しました。
問題pickup
・第2問は、アイデンティティの状態の分類に関する問題でした。
アイデンティティに関しては教科書にも載っていますが、今回出題されたのはそれを基にした初見の概念でした。提示された定義と具体例を照らし合わせて当てはまるものを判断していく、読解力と論理的思考力が試される問題でした。
来年に向けた対策方針
時事ネタは要チェック
『2022年4月の成人年齢引き下げ』『デジタル情報の知的財産権』『SDGs』『LGBT』など、最近の時事問題に触れている問題が出題されました。知識の収集だけでなく、時事問題と関連用語の理解が必要です。
新聞の1面やニュースランキングのトップ記事だけでも毎日目を通す習慣をつけましょう。
その他の対策方針
・知識:
正誤問題を中心とした選択問題は重要な得点源です。落とさないよう、基礎事項の理解を深めましょう。
・読解:
複数の資料や文章を読み取る問題が出題されるため、文字量が多い文章を読んで慣れておきましょう。
・時事:
さまざまな時事的要素に対応できるよう、日頃から耳にする語句の意味や関連情報を調べておきましょう。
・演習:
基本知識を身につけた上で、出題傾向に慣れるために過去問題や予想問題で演習を重ねましょう。
2022年4月16日
2022年大学入試共通テスト概況分析 第11回 政治・経済
こんにちは。
家庭教師のトライ茨城校です。
今回は、共通テストの政治・経済の概況についてお伝えいたします。
政治・経済
平均 56.77点(昨年比-0.26点)
分量 例年並み
難易度 例年並み
大まかな傾向 4択問題が減少し、組み合わせ問題や多肢選択問題が増加した。
問題構成
(大問数 4 解答番号数 30)
1 まちづくり
2 経済主体 (↓の問題pickup で詳しく解説!)
3 新聞の一面
4 地方自治
概観
多様な資料を読み取った上での論理的思考力が求められています。初見の資料であっても細部まで見渡して手がかりを探すようにしましょう。
問題pickup
・第2問は、労働法改正で有期労働契約の期間が延長したことを確認する時事的問題でした。(参考:労働契約(契約の締結、労働条件の変更、解雇等)に関する法令・ルール―厚生労働省)
求人情報の例が労働法規に抵触しないかどうか、検討する問題でした。基本的な労務知識、特に数字をおさえておく必要がありました。
※比較的問題文が短かったので掲載してみました(文章・フォーマットは一部改変しています)。皆さんも一緒に考えてみてください。
Q:下線部のうち、雇用に関係する日本の法律に抵触するものはどれでしょうか。(答えはページの下部)
◆求人広告◆
●パート・アルバイト
ア 労働時間:1日当たり6時間、週6日
イ 雇用契約期間:3年
ウ 有給休暇:付与なし
ポイント:あなたの身を守るための政治・経済
※このコーナーは、受験とはあまり関係のない内容です。興味のない方は読み飛ばしてください。
長く苦しい受験生活が終われば、華の大学生活が幕を開けます。
あなたが大学生になったらやりたいことは何ですか?
一人暮らしをしたい、アルバイトを始めたい、友達と旅行に行きたい、車の免許を取りたい……。
高校までではできなかったさまざまなことを思い浮かべるのではないでしょうか。
大学生活は、人生の中でも最も自由な時期です。
しかし、あらゆるメリットには対価がつきものです。
高校生までは、「親や学校からの庇護」の対価が「不自由」でした。
そして大学生からは、「自由」の対価として庇護を失い「責任」を負うことになるのです。
そして残念なことに、「庇護」を失った大学生を狙う、悪質な大人は数多くいます。
マルチ商法、ブラックバイト、カルト宗教への勧誘・・・。
彼らは常に、「自由」だけを与えられたが身を守るすべを持たないものを虎視眈々と狙っているのです。
これからあなたの身を守るのはあなた自身、さらに言えば「あなたの知識」です。
特に法律や社会の仕組みについての知識は、先ほど挙げたものからあなたを守る強力な武器になります。
例えば、問題pickupで取り上げたのは、法的に問題のある求人広告でした。
雇用契約に関する知識が備わっていれば、おかしな求人広告にも気づくことができ、ブラックバイトを回避することができます。
政治・経済は単なる受験科目ではありません。これから社会にはばたくあなたのため、武器を授けてくれるものです。
来年に向けた対策方針
計算問題は登場しませんでしたが、時事問題の割合が増加しました。時事問題と経済問題で得点差がつきやすいのでしっかり演習しましょう。基本となる用語を理解し、解法の手がかりをつかむには資料のどこに注目するべきかを抑えましょう。
その他の対策方針
・知識:
教科書に登場する基本語句を人に説明できるレベルまで理解しましょう。
・思考力:
背景知識と資料から得られた情報を、合理的に推論する練習をしましょう。
・時事問題:
近年の話題が出題されやすいため、数年分の政治、経済、国際分野の出来事を調べておきましょう。
新聞やwebニュースに目を通す習慣をつければ、推薦入試や後期入試の小論文や面接にも応用できます。
A:ウのみ
解説:
ア:労働時間(労働基準法)
1日当たり8時間、1週間当たり40時間→6時間×6日=36時間なので基準内
イ:雇用契約期間
有期労働契約の上限は3年。専門的知識を有するもの、60歳以上は5年
ウ:有給休暇
有給休暇は労働者の権利で企業が付与しないことは認められない。
2022年4月14日
2022年大学入試共通テスト概況分析 第10回 倫理
こんにちは。
家庭教師のトライ茨城校です。
今回は、共通テストの倫理の概況についてお伝えいたします。
倫理
平均 63.29点(昨年比-8.67点)
分量 例年並み
難易度 やや難化
大まかな傾向 問題の設定がリード文から会話文へ変化。
問題構成
(大問数 4 解答番号数 33)
1 源流思想
2 日本思想
3 西洋近現代思想
4 青年期・現代社会分野 (↓の問題pickup で詳しく解説!)
概観
リード文から会話文へ変わったことで読解力が要求されるようになりました。文章量は変わらないものの、解答に時間がかかることで平均点が下がる要因となりました。
問題pickup
・第4問は、表をもとに「レベル」と例の組合せを選ぶ新形式の問題が出題されました。
選択肢で述べられている具体例を一般化して表に書いてある内容と照らし合わせ、内容が一致しているものを選ぶ問題でした。読解力と思考力、要約力が試される問題でした。
来年に向けた対策方針
原典に触れよう
学校の授業では各思想家の表面的な思考のみを要約して取り上げる為、誤ったイメージを抱いてしまったり、似たような用語を用いる哲学者の思想を混同してしまうことがあります。
そうならないためには思想家の「生の言葉」に直接触れて心を動かす――「原典」に触れるのが一番です。
「でも哲学書は古めかしい、難しい言い回しをしていそうで、手を出しづらいな……」と思う方も多いでしょう。
しかし最近では、平易な現代語訳で分かりやすくなったもの、イラストやマンガを用いてとっつきやすく、理解を手助けしてくれるようなものも多く刊行されています。
勉強の合間に、倫理の授業の中で気になった思想家の本に触れてみるのも良いのではないでしょうか。
その他の対策方針
・知識:
まずは教科書に登場する基本語句を説明できるまで理解しましょう。
大まかな思想の枠組みを知っておいた方が、原典にも触れやすくなります。
・思考力:
どのように活用されているか具体例を用いながら思想内容を説明できるように訓練しましょう。
・理解:
思想内容が展開された時代背景を踏まえつつ、流れの文脈の中で捉えるようにしましょう。
世界史や日本史の学習内容と絡めることで、相互の理解が深まります。