教育プランナーブログ

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 平成23年度の入試問題の地学の分野で、一番目を引いたのは、新しい学習指導要領で追加された「月」についての出題があったことだろう。熊本県の公立中高一貫校の入試問題や、教員採用試験でも「月」は頻出なので、今後この問題が出題される可能性は非常に高い。

 

 今回は、過去6年間の地学分野の出題傾向と、どの分野のどの箇所を重点的に学習するべきかについて述べたいと思う。

 

 地学に関しては、1年生で、「火山の活動と火成岩」や「地震とその揺れ」等の「大地の変化」について学習する。2年生では、「気象の観測」「気圧と風」「大気中の水」「前線と天気の変化」「天気図の見方」等の「天気とその変化」について学習する。そして、3年生で「天体の一日の動き」「四季の変化と星座」「太陽系と惑星」等の「地球と宇宙」について学習する。そして、過去6年間で、1年生~3年生までの内容が4回ずつ出題されている。

 

 それでは、実際にどのような出題のされ方がなされて、どういう知識を必要とするかについて考えたい。

 

 平成18年度の問題では、問題集や模試でお馴染みの「気温と飽和水蒸気量」についての問題が出された。問題文中に「空気中の水蒸気量を調べたい」とあったら、「空気中の水蒸気量=露点(水滴が出来始めた時の温度)の飽和水蒸気量」であることを思い出そう。そして、11℃の時にくもり始めた(水滴が出来始めた)のだから、グラフから11℃の時の飽和水蒸気量である10gがその空気に含まれる水蒸気量であることが分かる。また、その空気が露点以下になった時の湿度は100%であることは、問題集でも何回も見たことがあるだろう。また、「地表付近で空気が露点以下になると、草木や建物に接して露や霜が出来るが、上空では、露点以下になると、ちりがあれば雲が出来る」ということは、雲の出来方の原理と併せて復習しよう。そのことを踏まえたら、グラフから湿度が100%になっている時に霧が発生したと考えて、この年に出題された問題も解く事が出来るだろう。また、「湿度=その気温で含まれている水蒸気量/その気温の飽和水蒸気量×100」という計算は確実に正解しよう。 

 平成21年度にも、空気中の水蒸気量に関する問題が出題されている。ここでは、「ピストンを引く→空気が膨張する→ゴム風船は膨らむ(気圧は下がる)→温度は下がる」ということをスモールステップでいいから理解しよう。また、その逆で、「ピストンを押す→空気が圧縮する→気圧が上がる→温度が上がる→露点を超える→雲が消える」ということも、逆の発想で言う事が出来るようになろう。

 

 平成18年度に、「ガラス瓶に水を入れなかった時、雲が出来なかった理由」について「湿度」と「露点」を使って記述で答える問題が出たが、雲が出来る原理を理解して、「水がないために湿度が下がった」→「露点が低くなった」→「露点に達することが出来なかった」ということを説明したらいいだろう。

 

 また平成18年度には天気図を読み取る問題が出題されているが、これは平成19年と平成23年にも出題されている。

 天気記号を覚えて、天気図をかけるようになろう。また、(4)気圧差の問題は、等圧線の感覚が4hPaになっていることが分かれば解く事が出来るサービス問題になっている。この問題は、平成19年度にも気圧が低い方を選ぶ形で出題されているが、等圧線をたどって数えたら難なく答えることが出来る。

 

 平成23年度には、「ア~ウの箇所で、一番風が強い箇所はどこか」という問題が出題されているが、「等圧線の間隔が狭いほど強い風が吹く」ということを理解できたら解く事が出来るだろう。

 この分野の問題を解く時に最低限押さえておきたいことは、「高気圧では、時計回りに風が吹き出ている、下降気流で天気が良い」「低気圧では反時計回りに風が吹き込む、上昇気流で天気が悪い」こと。「寒冷前線は寒冷な空気が活発で、温暖な空気の下にもぐりこみ、暖気を押し上げて進む。そのため、積雲状の雲を生じ、通過後は気温も下がり、風向きも北西になる。」こと。「温暖前線は、温暖な空気が活発で、寒冷な空気の上にはい上がり、層雲状の雲を生じる。」ことは、押さえておこう。そうすれば、平成18年度の雲を書き入れる問題、平成23年度の寒冷前線が通過した後の時間帯を選ぶ問題も出来る。また、同じ23年に閉塞前線がどのようにして出来るか記述する問題も出されたが、「寒冷前線が温暖前線に追いつき、追い越す」ことによって出来るということをまとめたら良い。

 

 平成18年度に昼夜の長さの1年の変化のグラフを出して、何故、夏の方が冬よりも暑いのか問う問題が出た。1年間の太陽が照っている時間の長さと南中高度については、太陽の動きと併せて理解しよう。因みに太陽が天球上をどのように動くかに関しては、平成20年度にも出題されている。

 そして、太陽電池の角度と電圧の関係のグラフから、太陽の光が太陽電池に垂直に当たるもの(太陽の光が一番当たっているもの)を選ぶ問題があったが、これはグラフから、太陽電池の電圧が最高になっている場所を選ぶだけの簡単な問題になっている。また、太陽の周りを地球が公転している図が出て、「太陽の光が地面に垂直に当たるのは地球がどの地点の時か」という問題が出題されたが、「太陽の光が地面に垂直に当たる」→「太陽が南中する」ことを覚えよう。また、南中する時、太陽は地球の真ん前にくることを踏まえたら、必然的に答えを導き出すことは出来るだろう。地球が太陽の周りを公転している図は、20年と22年にも出題されているので、頻出だといえよう。地球が太陽の位置との関係で、どの位置に来たら、どの季節になるのか、天体上では、天の北極に向かった時、左が東で、右が西であること、天の北極側が北になることを押さえよう。また、恒星の日周運動は地球の自転によるもので、年周運動は、地球の公転によるものであることを踏まえた問題も、平成20年に出題されている。そして、22年には「自転」と「公転」について書かせる問題が出題されている。自転も公転も、向きは西→東なので、日周運動も年周運動も東→西に向かって動いていくように見えることを理解しよう。また、20年の問題のように、年周運動で動いたのと同じ距離を日周運動で動くためには何時間かかるか問う問題も出題されている。年周運動では360°を12ヶ月かけて動くので、「360÷12=30」で、一ヶ月30°動くのに対して、日周運動では、360°を24時間で動くので、「360÷24=15」で、一時間に15°動くことを理解したら、30°動くためには15°×2で、2時間必要であることは分かるだろう。

 

 平成23年度に出た月の問題は、太陽が当たっている箇所が光っていることを踏まえて、地球上からどのような形で見えるか、想像しにくい人は、先生にボールなどを使って説明してもらおう。

 

 平成19年~21年にかけて3年連続して火成岩について出題されている。この分野のことは、まとめておく必要がある。特に、火山岩が班状組織で、深成岩が等粒状組織であること。教科書に載っている火成岩の表を覚えるだけでも何問か解く事が出来る。覚え方のこつは、「しんかんせんはかりあげか」や「ははかくきか」などがあるので、興味がある人は先生に聞こう。

 

 平成22年地震の問題が出題されているが、距離を求める問題までは出題されていない。p波s波の速さを踏まえて、それぞれの距離をxと置いたら、道のり/速さの差が初期微動継続時間になっていることを使って距離を算出することが出来るだろう。また、この計算式に関しては「大森公式」という裏技もあるので、気になる人は先生に聞こう。

 

 地学の分野は、暗記だけではなく、文章に書いてあることを同じ意味の違う表現で解釈したり、グラフを読み取ったりする問題も出題される。また、天体では、太陽が当たっている間が昼間で、こういう風に自転するから…という風に想像して理解する必要がある。「理科は暗記」というけれど、知識だけでは解けないのが理科なのだ。

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