教育プランナーブログ

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生物分野に関して、中学生が一番最初に学習する内容は「植物」である。また、学校の先生が持っている教科書に書いてある重要度では「植物」の重要度は極めて高い数値になっていることをご存知の生徒も多いと思う。

今回は、生物の分野は過去6年間でどのような出題がされたか、どの事実を重点的に学習するべきかに焦点を当てて過去問を分析していきたい。

 

生物の分野に関して、1年で学習する内容は「植物の生活と種類」等、2年で学習する内容は「動物の生活と種類」等、3年で学習する内容は「生物の細胞と生殖」になっている。過去6年間の出題を見ると、1年生の内容は5回、2年生の内容は5回、3年生の内容は4回の出題になっている。ただし、平成22年度の出題では、3年生の内容は1問のみに留まっており、3年生で学習する内容からの出題は、他の学年からの出題よりも少ないように思える。

 

平成18年度の問題では、気孔の観察に関することが問われていた。「気孔の数を調べるためには、観察した部分の気孔の数と何の面積と何の面積を調べればいいか」という内容の問いは、思考力を問うものになっている。理科では、教科書に載っている内容をそのまま述べる問題以外に、自分で考えて答える問題もこのように出題される。全体の気孔の数を調べるためには、観察している葉の面積が全体のどれだけにあたるか(割合)を考えればいいから、「全体の葉の面積」と「観察している箇所の葉の面積」を調べればいいのだが、出来なかった生徒も多かったのではないかと思う。また、近年「環境」に関心が高まっていることの流れから「気孔の葉が汚れていたのは何故か」という環境と関連付けた記述問題が出ている。この類題は、平成21年度にも出題されていることには注目したい。気孔に関しては、平成23年度にも出題されているが、気孔とは葉の裏側に多くあり、蒸散を行う場所だということは最低限押さえておきたい。また蒸散とは、「生きている植物の体から水が水蒸気となって空気中に出て行く現象」であることと、蒸散を行うことによって「根の水分の吸収力を高める」ことを理解しよう。また、模試でよく出題される「ワセリンを葉の裏・表・両方に塗る実験」についての実験結果とそのことから分かる「気孔は葉の裏に多くある」という事実はしっかり覚えておこう。

この年に出題された顕微鏡の使い方についての問題は、平成19年度にも出題されている。顕微鏡の使い方の手順と、何故そういう手順で使わなければいけないのか(例 接眼レンズ→対物レンズの順番に取り付けるのはゴミが入らないようにするため等)は箇条書きでまとめておこう。そして、カエルの発生のしくみについて図を用いた出題があった。カエルの発生の流れは押さえておこう。

 

平成19年度には、成長点(細胞が分裂している箇所)に関する問題が表やグラフと絡めて出された。成長点の場所は、教科書に載っているので、確実に覚える必要がある。また、表ではどの数値も0.1までの数を読み取っていることを踏まえて、「メモリは1/10まで読み取る」ということに気付こう。また、この問題で、「染色液で染めた後、染色液の入っていない水につけた」→「色の薄い部分が成長した箇所だ」ということに気付こう。そして、bの部分の長さを表で追っていくと、その差から伸びた長さを算出できる。そして、その算出した数字を正確に書いたグラフがどれになっているか選ぶのは簡単だろう。皆さんの思考力が問われる問題になっている。

また、細胞分裂の順序に関する問題が図で出されたが、これとほぼ同じ問題が平成23年に出されている。平成23年には、観察する時に根の先に塩酸をつける理由を記述する問題も出されたが、この問題も頻出の問題で「細胞どうしを離れやすくするため」と書けば正解になる。

同じ19年に、ヘモグロビンの働き、小腸でブドウ糖が吸収されること、肺静脈や大動脈等の動きを図に書き入れる問題等が出されたが、中学校2年生で学習する「血液循環と呼吸・排出」「食物の消化と吸収」に関する、非常に表面的な浅い内容になっている。「消化とは、食物をかみくだいたり分解し、小腸から吸収出来るような小さい物質にすること」ということを踏まえているだけでも、一問は解く事が出来る問題があったように思う。また、肺静脈と大動脈に動脈血(酸素や栄養分をたくさん含んだ血液)が流れていることを踏まえておこう。そして、肺循環と大循環の流れと方向は押さえておく必要がある。また、この分野の出題は、平成21年度と平成23年度でもされているが、ここではもっと踏み込んだ内容になっている。

 

平成20年度には、対照実験で明るい所に置いた葉を入れた袋では二酸化炭素の量が減っていて、酸素が増えているのに対して(呼吸よりも光合成が盛んに行われた)、暗いところに置いた葉を入れた袋では、酸素が減って二酸化炭素が増えていること(呼吸が盛んに行われた)を表から読み取る問題が出題された。予備知識として、昼間は光合成の方が盛んに行われて、夜は呼吸の方が盛んに行われることを知っていれば、より解きやすい問題になっている。

また、同じ年に、刺激の伝わり方に関しての問題が出題された。電球がつくのを見てジャンプをする実験で、「電球がつくまでの時間が毎回異なる方が反応時間を正確に算出できるのは何故か」という出題がされたが、これにはてこずった生徒も多かったと思う。知識というよりも思考力が問われる問題で、「電球がつくまでの時間が毎回異なる」→「いつ電球がつくか予測できない」→「予めいつ頃電球がつくか予測して行動することを防ぐため」となる。また、「電球がついてから足が観測用マットを離れるまでの間に脳が行っている働き」に答える問題が出題されたが、刺激が感覚器官(皮膚)に伝わり→感覚神経→脊髄→脳(判断と命令)→運動神経→運動器官(筋肉)となり、反応するという流れを理解したら、「見えたと感じる(刺激が伝わること)、判断する、命令する」という正解を導くことが出来るだろう。

 

平成21年度に出題された問題は、小腸がデンプンとたんぱく質を分解することを問う問題だった。また、胆汁の働きと小腸から肝門脈を経てブドウ糖とアミノ酸が肝臓へ運ばれることを問う問題もあった。これに関連しては、ヒトの血液循環の模型図で、「食後に栄養分が最も含まれる血管はどこか」という出題のされ方もするので、色々な形式の問題に慣れよう。

また、肝臓に関しては、平成23年度にも出題されている頻出の項目なので、重要な働きを覚えておく必要がある。肝臓の働きをまとめると、「胆汁を分泌する(胆汁は消化酵素を含まないが、脂肪を細かい粒子にして、すい液が分解しやすいようにする)」「グリコーゲンやその他の栄養分を貯え、血糖値が下がった時にはグリコーゲンをブドウ糖として全身に送り出す」「血液の貯蔵をする」「解毒作用がある」「血液量を調節する」「アンモニアを尿素に変える」ということを踏まえたら平成23年度の問題も出来るだろう。

また、21年度の問題で、唾液がデンプンを糖に変えることを考察する実験が出た。これは、教科書にも載っている非常に有名な実験である。ただ、この問題では異なった条件が二つしか与えられていないので(「デンプン+唾液」「デンプン+水」)、非常に取り組みやすいものになっていたのではないかと思う。普通は、試験管につける液体の温度も20度、40度、80度と様々になっていて、そこから「消化酵素が働くためには体温に近い温度(40度)である必要がある」ということまで結論を導く必要がある。この年の問題では、「デンプン+唾液」→「唾液が糖に変わるので、ヨウ素液は変化しなくて、ベネジクト液は熱しながら反応させると赤褐色になる」ことと、「デンプン+水」→「デンプンのまま変化しないので、ヨウ素液は青紫色になり、ベネジクト液は色が変わらない」ことを導き出す必要がある。簡単な内容なので、間違わないように気をつけよう。また、対照実験で、唾液がデンプン糖に分解することを証明するために、どのような条件を作るべきか記述する問題があったが、「唾液」を違うもの(水)に変えればいいことは、導き出したい結論を考えれば容易に分かるだろう。

 

平成22年度には、動物の分類について、過去5年間で初めて出題された。動物の分類は、生活する場所、呼吸の方法、体表が何で覆われているか、変温か恒温か、卵生か胎生か、卵は殻で覆われているかいないか、冬眠するかしないかという観点からすべての種類について説明できるように表を書こう。それが理解できれば、この年の問題は非常に簡単に思えたはずである。5図を見れば、鳥類になっている。そして、鳥類は「肺呼吸、恒温、卵生」ということを頭の中でまとめたらコジュリンが正解だと分かる。また、7図が肉食動物であることの理由を記述する問題が出された。草食動物が、「草や木の葉など繊維の多い食物をすりつぶして消化出来るように、①歯の中で臼歯が発達し、また草を噛み切る門歯も発達している、②消化管は、体に比べて長い」ことを覚えよう。また、肉食動物に関しては、「他の動物を捕まえてかみ殺して食べられるように、①歯の中で鋭い犬歯が発達して牙になる②、臼歯は、凸凹で間に肉をはさみ、おし切るのに適している、②消化管は体に比べて短い」ことを押さえよう。そうすれば、自ずと「犬歯が発達しているから」ということが分かるだろう。

同じ22年に、自然界における生物の釣り合いについて、バランスが崩れた時に何が起こるか記述で答える問題が出題された。教科書に載っているピラミッドの絵を思い出して、「自然界において、食物連鎖の中で、生物の数量に多少の増減はあるが、ふつう食物連鎖の中で、数の釣り合いが保たれて、ある数だけが急激に増えたり減り続けることはない」ということを理解しよう。

 

平成23年度に出題された内容は、前年度に出題された内容に植物の分類を足しただけのものである。種子植物(被子植物、裸子植物)、被子植物(双子葉類、単子葉類)等の分類を始め、それぞれの特徴を箇条書きでまとめよう。

 

生物分野の問題は、表から読み取ったり、図に書いてある内容から数を数えたりする非常に単純で知識を問われない問題も多数出題されている。必要な知識は押さえて、表やグラフを読んだり、状況を踏まえて記述する問題も出題される。生物の問題をパターン化するのは難しいが、必要な事項を知っていて、じっくり考えたら解けるのが生物の問題の特徴である。

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