2023年4月22日
【2023年】大学入試共通テスト概況分析 第12回:理科(物理/生物/化学)
こんにちは。
家庭教師のトライ茨城校です。
今回は、共通テストの理科(物理/生物/化学)の概況についてお伝えいたします。
物理
平均 64.46点(昨年比+3.74点)
分量 微増
難易度 昨年並み
大まかな傾向 文章量や数値計算が増え、実験結果の考察が多く扱われた。
問題構成
(大問数 4 解答番号数 26)
1 小問集合:各分野の基本問題
2 力学:落下運動と空気抵抗 (↓の問題pickup で詳しく解説!)
3 力学・波動:円運動とドップラー効果
4 電磁気:コンデンサー・電気容量の測定
概観
会話文を元に実験結果を考察する問題が2問出されるなど、全体的に文章量や数値計算が増えました。実験に即して公式や事象の意味を考えられるかが問われました。昨年大問として扱われた原子分野が、今年も小問で出題されました。
問題pickup
・第2問問3は、空気抵抗に関する家庭が誤っている理由を、実験結果から考えるという問題でした。
多くの参考書にも記載されている空気抵抗のモデル式R=kvについて、実験結果から必ずしも正しくないということを導くという、柔軟な思考力が求められる問題でした。
来年に向けた対策方針
第2問で空気抵抗の性質を実験結果から考える問題、第4問でグラフからコンデンサの放電量を求める問題が出されました。
物理的事象や公式についての理解を深め、実験結果やグラフに当てはめて柔軟に考えられるかが問われました。
その他の対策方針
・基本理解:
様々な公式や物理事象について理解を深め、式・図表から適切に関係性を導けるようにしましょう。
・計算・演習:
文字計算のみでなく数値計算の練習もしておきましょう。数式が何を表しているのか、意味を考えることも忘れないようにしましょう。
・グラフや表の活用:
グラフの傾きや面積が何を表すのかまで押さえておきましょう。
・読み取り・実験考察:
会話中の考察やヒントから立式できるかが大切です。どうしてその式が成立するのかを常に意識しましょう。
化学
平均 49.95点(昨年比+2.32点)
分量 微増
難易度 昨年並み
大まかな傾向 長い問題文や図表が多く、解く際に条件の整理が求められた。
問題構成
(大問数 5 解答番号数 35)
1 物質の構成・状態
2 物質の変化と平衡
3 無機物質
4 有機化合物、高分子化合物
5 無機物質、物質の変化と平衡 (↓の問題pickup で詳しく解説!)
概観
標準的な難易度の問題が多くみられました。計算量が多く、時間的な負担はやや大きかったです。多くの問題で文章や図表の意味をよく理解して解く必要があり、情報を整理する力が求められました。
問題pickup
・第5問問3は、光の透過率から気体のモル濃度を計算する問題でした。
高校範囲外の内容を扱った、見慣れない問題でした。しかし実験内容を落ち着いて読めば、知識がなくても問題設定を理解できました。グラフ作成用の方眼紙もついてきましたが、問題文と表1の数値を用いることで、グラフを書かなくても正解にたどり着けました。
来年に向けた対策方針
第1問では図を読み取りイオン結晶の構造を理解する問題、第5問では自分で表を書いて考える問題が出されました。
ただ暗記するだけでなく、図表を駆使して実験結果から考察する力に重点が置かれていたといえます。
その他の対策方針
・物質の構成・状態:
基礎知識と同時に「なぜそうなるか」といった関連知識もセットで覚えるようにしましょう。
・物質の変化:
常に化学反応式を書くことで、モル比を意識する癖を付けましょう。グラフの読み取りにも慣れておきたいです。
・無機物質:
物質の性質などの基礎知識は確実に覚えましょう。計算問題を工夫して素早く解けるようにしておきましょう。
・有機化合物:
有機反応や官能基の知識をしっかり頭に入れましょう。構造決定の問題は解きなれておきましょう。
生物
平均 40.55点(昨年比-8.26点)
分量 例年並み
難易度 難化
大まかな傾向 複数分野を含む大問で、初見の実験を考察させる割合が増加しました。
問題構成
(大問数 6 解答番号数 28)
1 生命現象と物質・生物の進化と系統
2 生物の進化と系統・生命の環境応答
3 生物の環境応答
4 生命現象と物質・生態と環境
5 生殖と発生(↓の問題pickup で詳しく解説!)
6 生態と環境
概観
全大問で、実験を理解する読解力と結果を考察する分析・思考力を求められる出題でした。生物知識は必須なものの、その知識を単純に問う問題はわずかで、思考力が問われました。
問題pickup
・第5問問4は、母性遺伝子Xの資源生殖細胞分化への作用解明を目的とした、変異体を用いた実験でした。
大問の最初に置かれた実験の内容からタンパク質Xの性質や働きを理解した上で、新たな実験の条件を推測・判断する必要がありました。
連動した小問の設定まで使う形式だったため、複数の実験の情報を整理する力が求められました。
来年に向けた対策方針
全大問で実験に対する考察問題が出題。第5問では、初見の実験の条件を設定する問題が出題されました。
実験意図や結果を理解するための生物知識は必須ですが、それを知識だけにとどめない論理的な思考へと接続する力に重点が置かれました。
その他の対策方針
・知識:
実験の意図や手法を理解するためには、幅広い生物知識が必須です。基本をおろそかにせず、知識の定着をはかりましょう。
・実験:
初見の実験をその場で把握する力を養うために、まずは教科書中の基本実験を丁寧に理解しましょう。
・結果:
実験結果の正確な解釈には経験値も大切です。普段から多くの実験考察問題に触れるようにしましょう。
・考察:
実験から考察するには、生物知識を組み合わせた論理的思考が必要です。問題集の解説まで踏み込みましょう。
参考:2022年度の概況分析はこちら
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