2023年3月
2023年3月27日
【2023年】大学入試共通テスト概況分析 第9回:世界史
こんにちは。
家庭教師のトライ茨城校です。
今回は、共通テストの世界史の概況についてお伝えいたします。
世界史B
平均 60.08点(昨年比-5.75点)
分量 やや増加
難易度 難化
大まかな傾向 資料読解を前提に、分析・考察させる問題が目立った。
問題構成
(大問数 5 解答番号数 34)
1 歴史の中の女性
2 君主の地位の継承と正当性
3 世界史学習の議論
4 資料読解(古代・中世) (↓の問題pickup で詳しく解説!)
5 歴史統計の読解(東南アジア植民地・産業革命)
概観
小問数はそのままに、4ページ増。資料問題が増加・複雑化し難化しました。昨年度は出題されなかったグラフの読み取り問題も復活しました。一方、地図問題は3題→1題に減少しました。すべての大問で、先生と生徒の会話形式のリード文が出題されました。
問題pickup
・第4問B問3は、生徒と教師の会話および2つの資料を基に考察をする問題でした。
内容に矛盾が見られる2つの歴史的資料を、前後の生徒と教師の会話をもとに批判的に考察する力が求められるという点が特徴的でした。
これまでの高校の歴史の授業では、教科書にのっている史料に書いてあることは、すべて正しいものとして扱われてきました。しかし実際は、今回の資料に限らず、事実誤認・主観的で偏った記述・脚色などが含まれる文献も多いです。
今回の問題のように、史料そのものの正しさを検討することを史料批判といい、歴史学では重視される分野の一つです。
「教科書やテスト問題に書いてあることはすべて正しい!」というこれまでの考え方だと、史料を批判的に読むというのはなかなか慣れないことだと思いますが、模試や問題集で練習を重ね、批判的読解力を身に着けていきましょう。
来年に向けた対策方針
複数史料の読解を必要とする問題や、リード文・資料を注意深く読んで分析・考察しなければ選択肢を絞り込めない問題が目立ちました。
文中語句から時代・関連事項などのヒントを素早く拾い、資料の読解や分析にかかる時間を確保したいところです。
その他の対策方針
・語句の知識:
一問一答形式や穴埋め形式の問題は、正解できたからと言って満足するのではなく、時代や政策などの関連事項が連想できるかもその都度確認しましょう。
・資料の読解:
リード文にも読解のヒントはちりばめられています。空欄や下線の前後だけでなく、全体を満遍なく読む癖をつけましょう。
・地図:
地図問題の数は減りましたが、問題の難易度は上昇しています。見慣れない地名は地図で場所を確認しましょう。
地図帳に付箋を貼っていくのも効果的です。
・文化史:
時代との対応がより重要になってきています。同じジャンル内(例:中国の歴史書)での変遷をまとめておきましょう。
・トライイット:
実は筆者は現在独学で世界史を勉強しているのですが、トライイットの映像授業が非常にわかりやすいのでお勧めです。
各章の初めにガイダンスがあり大まかな流れを把握できるのが特に良い点だと感じました。
トライイットに関する詳しい説明はこちらをご覧ください。
参考:2022年度の概況分析はこちら
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2023年3月25日
【2023年】大学入試共通テスト概況分析 第8回:日本史
こんにちは。
家庭教師のトライ茨城校です。
今回は、共通テストの日本史の概況についてお伝えいたします。
日本史B
平均 61.06点(昨年比+8.25点)
分量 例年並み
難易度 やや易化
大まかな傾向 初見資料の読解と、歴史事項の年代を重視する出題が続いた。
問題構成
(大問数 6 解答番号数 47)
1 日本の地図の歴史
2 古代の陰陽道
3 中世の日本経済と京都 (↓の問題pickup で詳しく解説!)
4 江戸時代の人々の結びつき
5 幕末~明治の時代考証
6 近現代の旅行の歴史
概観
小問数は変化なし。初見の文書資料に加え、古地図や江戸時代の名簿の写真資料などが登場しました。中世の経済を模式図で表すなど新傾向の問題もありました。また国際的な知識も求められました。
問題pickup
・第3問 問5は、中世の経済を表す模式図を完成させる問題でした。
大問全体の誘導を意識し、大問内の資料から当時の情勢を読み取ることで、図が「貨幣経済」に関するものだと気づく必要がありました。
その問題単体では解くのが難しく、前の問題の内容や会話文全体の内容を踏まえて考える必要がある、というのは、今までの日本史のテストにはあまりなかった要素です。
来年度の模試では、こういった形式の問題も出題されると考えられるので、積極的に模試を受験して練習を重ねましょう。
来年に向けた対策方針
昨年に引き続き、歴史事項の年代の知識を問う問題や並べ替え問題が多く出題されました。
年代配列問題といっても、「○○があったのは何年か答えなさい」といった、直接年号を問うような問題は出てきません。こういった問題に求められるのは、事項ごとの因果関係の理解(○○があったから、××になり、それが原因で△△が起きた)です。
しかし場合によっては、年号の知識がないと解きづらい問題も出てきます。
「歴史は好きだけど年号を覚えるのは苦手……」という人はきっと多いと思います。
歴史のターニングポイントとなる出来事や、語呂合わせで覚えやすい年号、区切りのいい年にあった出来事のみ暗記しておけば、大体対応できます。
★覚えておくと便利・覚えやすい年号★
・57年→光武帝が漢委奴国王に金印を贈る(『後漢書』東夷伝)
高校日本史で出てくる最古の年号であり唯一の2桁年号。
・538年→百済から仏教が伝来
「百済の寺にご参拝(ごさんぱい)」で覚えよう。
・645年→乙巳の変(に始まる大化の改新)
「蒸し殺す(むしころす)大化の改新」で覚えよう。
・710年→平城京遷都&奈良時代のはじまり。
「なんと素敵な平城京」で覚えよう。
・794年→平安京遷都&平安時代のはじまり。
「なくようぐいす平安京」で覚えよう。
・894年→遣唐使の廃止
「白紙(はくし)に戻そう遣唐使」で覚えよう。
・1185年→平氏滅亡&守護・地頭の設置
「いいはこ作ろう鎌倉幕府」で覚えよう。(近年では1192年(いいくにつくろう鎌倉幕府)ではなくこっちが鎌倉幕府の始まりとみなされることが多い)
・1392年→南北朝合一
「いざくにまとまる室町幕府」で覚えよう。(「いい国作ろう鎌倉幕府」のちょうど200年後)
・1582年→本能寺の変
・1600年→関ヶ原の戦い
キリが良くて覚えやすい。
・1868年→戊辰戦争開始
江戸時代の終わり・明治時代の始まりという日本史の超重要ターニングポイント。
「いいや論破(いいやろんぱ)で無血開城」で覚えよう。
・1925年→普通選挙法&治安維持法
キリが良くて覚えやすい&歴史のターニングポイント
・1945年→太平洋戦争終戦
キリが良くて覚えやすい。また元号も「昭和20年」とキリがいいので、「1945年=昭和20年」さえ覚えていれば、西暦と年号の変換が楽にできる。
筆者は高校時代、日本史がまあまあ得意科目でしたが、しっかり覚えていた年号はこのくらいでした。
これだけは最低限覚えて、あとはその周辺に起きた出来事との因果関係をしっかり把握するようにすれば、年代配列問題には難なく正答できるでしょう。
その他の対策方針
・歴史の流れ:
政治・経済・社会・文化のそれぞれにある「大まかな歴史の流れ」を自分の言葉でまとめましょう。
共通テストのみならず、2次試験の記述問題の力も養われます。
また、これらは相互に密接した関係にあります。(例:応仁の乱で京都が荒廃し、地方に貴族が避難したことで、地方でも様々な文化が花開いた)
・世界との関係:
日本の出来事だけでなく、東アジアなど同時代の世界の動きを教科書の範囲で押さえておきましょう。
・史資料:
史料問題に取り組むときは、出典や文中の元号を見て「いつの史料なのか」確認しながら読解しましょう。リード文に書いてあることもあるので、読み飛ばさないようにしましょう。
・年号:
時の権力者(天皇・幕府の将軍・首相)と出来事を関連付けられると、年代配列問題がぐっと解きやすくなります。
参考:2022年度の概況分析はこちら
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2023年3月13日
【2023年】大学入試共通テスト概況分析 第7回:国語(古典)
こんにちは。
家庭教師のトライ茨城校です。
今回は、共通テストの国語(古典)についてお伝えいたします。
国語(古典)
平均※国語全体 105.17点(昨年比-5.09点)
分量 昨年並み
難易度 やや難化
大まかな傾向 基礎知識で解ける問題が減り、本文理解を重視する問題へ。
問題構成
(大問数 2 解答番号数 17)
1 古文『俊頼髄脳』『散木奇歌集』 (↓の問題pickup で詳しく解説!)
2 漢文『白氏文集』
概観
古典全体はやや難化。古文では昨年と同様、生徒や教師の会話から空欄を補充する問題が出題されました。漢文は、やや見慣れない文章形式であり、句形のような基礎知識より本文理解が問われました。
問題pickup
・第3問(小説文)問4は、引用文と設問の会話をヒントに本文の内容を紐解く問題でした。
引用している連歌の技法である「掛詞」を理解し、本文の和歌が同じ技法を使用していることに気付けるかどうかがポイントでした。
ポイント:読む順番の工夫をしよう!
国語の問題は、(現文・古典両方とも)おおよそ以下の構成からなります。
1)リード文:文章のタイトルや、登場人物の背景事情など、本文を読む前提となるうえで必要な情報が書かれている
2)本文:問題として出題される文章。一番長く、読むのに時間がかかる
3)設問文
4)設問の選択肢(選択式問題のみ)
5)他の資料:本文を基にした話し合い、本文の内容にかかわりがある別の文章など。近年の共通テストではしばしば、本文以外の資料がある問題が出題される。
この4つ、皆さんは、いつもどの順番で読んでいますか?
1)リード文→2)本文→3)問題……と、なんとなく前から文章を読んでいるという人も多いのではないでしょうか。
↑のような読み方をしていて、国語の点数が伸び悩んでいる……という人に、おすすめしたい読み方があります。
それは、本文以外のすべての文章にあらかじめ目を通してから、本文に取り掛かるという読み方です。
なぜこの読み方をおすすめするのか?
実は、リード文や設問文、本文以外の資料には、本文を読む上での手掛かりや、本文を読む際に注目すべきポイントがたくさん詰まっているからです。
第3問の古文を例に説明します。
例えば問3は、「1~3段落についての説明として最も適当なものを選ぶ」という問題で、選択肢は次のようになっていました。
①宮司たちは、……
②宇治の僧正は、……
③良ぜんは、……
④殿上人たちは、……
⑤良ぜんのそばにいた若い僧は、……
設問文からは、「1~3段落の内容は特に注意して読む必要があるな」ということがわかります。
選択肢からは、「宮司たち」「宇治の僧正」「良ぜん」「殿上人たち」「良ぜんのそばにいた若い僧」という登場人物がいること、それぞれの行動に特に注意して文章を読むべきであるということがわかります。
また問4は、本文の内容を基にした会話をヒントに本文の内容を考える問題でした。
会話文中に、次のような発言がありました。
教師「……3段落で良ぜんが詠んだ「もみぢ葉の」の句について考えてみましょう」
本文だとこの部分は、「良ぜん」が「良ぜんのそばに居た僧」に何かを言い、「良ぜんのそばに居た僧」が「もみぢ葉」の句を詠むという流れになっていました。
つまり句を考えたのは「良ぜん」で、代理で句を読み上げたのは「そばに居た僧」なのですが、古典が苦手な人は、句を考えたのも「良ぜんのそばに居た僧」だと勘違いしてしまいます。
しかし、先に会話文に目を通しておけば、句を考えたのは「良ぜん」だと理解した上で本文に挑めるので、誤読をせずに済みます。
本文以外に目を通して、前提となる知識を増やした状態で本文に挑むと、文章理解が早くなります。
ぜひ一度、このやり方で問題を解いてみてください。
来年に向けた対策方針
・語彙:
基本的な単語の理解はもちろんですが、意味が複数ある語句については、文脈に遭った訳ができるよう訓練しましょう。
・主語の特定と文法:
古文では主語が省略されることが多いです。主語を見つける手がかりになるのが、「述語が敬語か敬語でないか」です。
動作に敬語が使われていたら偉い人(貴族とか)で、使われていなければ偉くない人(家来とか)だとわかります。
・句法:
自分で漢文に返り点を付け、書き下し文がかけるように練習しましょう。
参考:2022年度の概況分析はこちら
トライでは、現在の成績や志望校に応じて、生徒一人ひとりに最適な学習プランを提供しています!
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