2011年4月21日
栃木 定期テストに向けた勉強方法(中間テスト・期末テスト)中学生編 ③
定期テストに向けた勉強方法(中間テスト・期末テスト)中学生編の続きです。前回の【理科・社会】に引き続き、今回は【数学】についてお話しいたします。
【 5 】 効果的な学習方法(数学)
数学は、国語と同様に、幼少時代からの積み重ねで現在の学力が培われている科目です。ですので、テスト範囲を丸暗記することで、100点満点に近い点数を狙える(理科・社会)とは、学習方法が大きく異なってきます。
本人が数学に対して苦手意識を持っていても、何年も前から遡って復習する必要があるお子さんと、最近学習した範囲の理解が浅いだけで比較的容易に修正可能なお子さんとで、問題点の根の深さにかなりの個人差があります。
現在学んでいる範囲を理解するためには、以前に学習した同じ分野の基礎範囲をしっかりと理解していることが前提となりますし、もし、前学年の学習範囲を十分に理解していない場合は、前学年や小学校時代に学習した範囲を復習し、十分に理解した上で進める必要があります。
そのために、まずは、【自分はどこから理解していないのか】を理解した上で対策を立てていく能力が必要とされます。
今回は一例として、小学生時代の算数の理解には問題がないが、中学校の数学に対して苦手意識が芽生えた生徒さんの場合の対策法を記します。
(1)日々の勉強の習慣づけ(予習・復習)
(2)テスト前学習法
(3)過去にさかのぼった基礎固めの学習
(4)ケアレスミスの改善
公立中学校における平成23年度の数学の年間授業時間数は、
中学校1年生:140時間(週4回)
中学校2年生:105時間(週3回)
中学校3年生:140時間(週4回)
です。(栃木県教育委員会「平成24年度新学習指導要領全面実施導入に伴う移行措置案」より)
また、定期テストは年間4回~5回実施されますので、それぞれのテスト範囲はおおよそ10週間分ずつのまとめテストであるということが言えます。
(1)日々の勉強の習慣づけ(予習・復習)
数学の学力を飛躍的に伸ばすコツは、毎日30分でも良いので、365日コツコツと学習することです。例えば、1日5問を目標にして継続するのがよいでしょう。
先ほど触れたように、中学校3年生の場合の定期テストは、1週間の授業時間数が4回で10週間分のテストですが、学校行事や祝祭日で授業がなくなることを考慮すると、おおよそ8週間分32回分の授業のまとめテストとなります。
人は、3日前のことさえよく覚えていないと言われます。
人はどれほど忘れやすくできているかを体感してもらうために、生徒さんに『おとといの晩ご飯、何だったか覚えてる?』という質問をすることがあります。お母様は直接料理を作られているので、比較的早く思い出されますが、食べた本人はなかなか思い出せません。思い出せるお子さんは、30秒制限時間つきで、約半数と言ったところでしょうか。
『人は、3日もすると、興味もなく素通りした知識や経験は忘れてしまいます。』
数学が好きな子は、授業中、先生の話を聞いてその場で理解し、授業中に出される演習問題で重要な理論を十分に理解するためかなかなか忘れません。逆に数学が苦手な子ほど、授業中に何となく聞いているだけというケ-スが多いため、忘れるスピ-ドも早くなってしまいます。
毎日コツコツと授業の予習・復習、問題演習をすることで、その日のことをその日のうちに理解するようになります。忘れてしまう内容が減少して、数学の学力が蓄積され、だんだんと解けるようになってきます。授業で習ってから1週間あけると30分かかけても解けない問題が、授業直後の夜に復習すると、5分で解けたりします。忘れないうちに理解を深めることで、学習効率がぐっと向上します。
(2)テスト前学習法
(1)で毎日数学の学習を行うと、テスト2週間前には、教科書、問題集の演習問題も2周目に突入します。
問題集には、
自力で解けた問題には ○印
分からずに答えを見て思い出した、内容を理解した問題には △印
答えを見ても意味がさっぱり解らない問題には ×印
を付け、解いた日付も記入しておきましょう。テスト前の2週間は、(△・×印)の問題を徹底的に復習して、全ての問題を(×⇒△⇒○)、とできるように反復練習をしていきます。
テスト2日前には、応用、発展問題も含め、問題集の演習を3周終了しているのが理想です。
(3)過去にさかのぼった基礎固めの学習
『数学は、いつ頃から苦手だと感じるようになりましたか?』という質問をすると、
小学校1年生の算数から苦手と感じているお子さんから中学校以降最近の授業でわからなくなった方など、一人ひとり時期は様々です。
トライには、『トライスピードラーニング』 『リハーサル学習法』 『対話式学習法』 など、1対1の家庭教師ならではの、様々な独自の学習メソッドがあります。
上記3つの学習法をまとめて簡単に説明します。各学年の教科書や問題集から、各分野の重要例題を紙芝居形式で生徒さんに質問し、実際に問題を解いてもらったり、口頭で解き方を説明してもらったりしながら、各単元をどれくらい理解しているかを確認しながら進めていきます。
全く理解していない単元、忘れてしまっている単元、間違えて覚えてしまっている単元など様々ですが、苦手単元を発見したら、生徒さん本人が、『わかった!』 と感じるまで集中的に指導を行っていきます。
(4)ケアレスミスの改善
ケアレスミスにも何種類かあり、原因も種類別にいくつか想定されます。
ここでは、数学のケアレスミスの代表的なものを取り上げ、ケアレスミスをなくすための訓練方法についてご説明します。
1.解き方は理解しているが、途中の計算式を書かずに解答し答えを書き間違える。
小学校時代に、スピ-ドを求めるあまり途中の計算式を全て暗算でやる習慣がついてしまっているお子さんに多いケアレスミスです。
小学校までは、最初の式から、2段階~3段階くらいで解答にたどりつけますが、中学校2、3年生の連立方程式、不等式、因数分解、二次方程式などになってくると、途中の式が、5~7段階くらい必要なものも増えてきます。
高校生理系の難問になると、計算の過程だけで、20行~30行になる問題も出てきます。
途中の計算式を省略すると、後から自分で見直す際、どこで間違えたのか分からず、復習するときもかなり非効率になります。
途中の計算式を書かない癖がある生徒さんは、早めに直す必要があります。
2.普段の学習では落ち着いて解けるのに、テストになると焦ってしまい実力が出せない。
テストで良い結果をもたらすためには、平常心を保つことが重要です。しかし、普段からテストの訓練を積んでいない生徒さんに『平常心を保ちましょう』 と言っても、どうしたら良いのか分からないかもしれません。
対策の一つとして、『ストップウォッチ勉強法』が効果的です。
数学のように、正確性とスピ-ドが求められる科目には、1問解くのに何分かかったかをストップウォッチで毎回計測して、問題の端にタイムを記録しておきます。2回目に挑戦するときに、1回目より早い時間で解ける実感を持つことも自信につながります。
普段から、時間的な制約のあるなかで問題を解く訓練をすることがとても重要です。
また、テストで問題用紙を見た際に、
(1)時間配分、ペ-ス配分を考える
(2)問題の難易度と自分が解ける自信がある問題を把握する
(3)(2)の判断から、解くべき優先順位を決定する
ことも、自分の実力を十分に発揮する上で心がけたいことです。
3.回答欄への記入方法を間違える。単位を書き忘れる。
定期テストを作成する学校の先生は、生徒が入試本番で同じようなミスをしないために、わざわざ解答の記入方法を何種類か混ぜて問題を作成する方もいらっしゃいます。これに引っかからないように問題文を読むことが重要です。
代表的なのが、単位のついた問題です。簡単な例題で見てみましょう。
≪例題≫
太郎君は、A地点から池の周りの遊歩道を自転車に乗って右まわりで時速18㎞で走ります。
花子さんは、A地点から池の周りの遊歩道を徒歩で左回りで時速4㎞で進みます。
A地点から上記速度で同時にスタ-トした時、ちょうど6分後に池の反対側のですれ違いました。
(問)池のまわりの遊歩道の1周の長さは、何mでしょう?
≪答え≫
太郎君:時速18㎞ 60分間で18㎞進む速さのため、6分間では、10分の1の距離を進みます。18×0.1=1.8〔㎞〕
花子さ:時速4㎞ 60分間で4㎞進むため、6分間では、10分の1の距離を進みます。4×0.1=0.4〔㎞〕
よって、池の周りの遊歩道の長さは、1.8+0.4=2.2 答え: 2.2 〔km〕
気付かれましたか?この答えだと残念ながらテストでは間違いになってしまいます。
正しい答えは、答え: 2,200 〔m〕 です。