2011年6月2日
『山形県 身近な伝説から学ぶ』
5月28日に山形県最上市の瀬見温泉で「弁慶まつり」が開催されました。
弁慶や義経に扮した馬行列や「弁慶どら焼き」の販売などがあり、観光客で賑わいました。
義経の奥方である北の方がお産をしたと伝わる「奥の院」、
弁慶が岩を割って見つけた温泉と言われている「薬研湯(やげんのゆ)」、
義経が子に亀若丸と名付ける際に、弁慶が硯として使ったと言われる「弁慶の硯石」など、
この瀬見温泉には、義経や弁慶ゆかりの伝説が数多く残っています。
ところで、なぜ最上市の瀬見温泉で「弁慶」なのでしょうか。
室町時代の書物「義経記」によると、源頼朝の追っ手から逃れ岩手県平泉に向かう途中、
文治3年に最上地域を通ったとされています。
この義経の逃避行ルートとされる地には温泉地が多く、
亀若丸にちなんだ伝説も多く残されているのが特徴でもあります。
悲劇のヒーローであり、また東北にゆかりのある人物でもあることから、様々な伝説が残されたのでしょう。
そこから生まれた言葉が、「判官贔屓(ほうがんびいき)」です。
※判官とは官職のことで、義経は、九郎判官義経と呼ばれていました。
悲劇のヒーローである義経を贔屓することから転じて、
弱者や薄幸の者に同情し味方したり、応援したりすることを指すようになりました。
「伝説なのだからウソでしょ」「勉強と関係ないから興味ない」など、
敬遠する方もいらっしゃいますが、伝説が生まれる背景には必ず歴史的事実が隠れています。
伝説は比較的興味を持ちやすいですから、そこから裏にひそむ歴史を学ぶと面白いかもしれません。
歴史を背景とした伝説や言い伝えが元になった熟語は、
今回ご紹介した「判官贔屓(ほうがんびいき)」以外にもたくさんあります。
言葉をただ覚えるよりも、その云われを知ることで理解度は高くなります。
学校の授業などで出てきた熟語の由来を、積極的に調べてみましょう。